インプラント周囲炎とは?症状・原因から「一生持たせる」ための予防策まで徹底解説
投稿日:2026年1月23日
カテゴリ:インプラント
執筆担当:国際口腔インプラント学会認定医 生野智也

「せっかくインプラントを入れたのに、歯茎が腫れてきた」 「歯磨きの時に血が出るけど、大丈夫かな?」
もし今、インプラント周辺にこのような違和感を感じているなら、決して放置してはいけません。それは**「インプラント周囲炎」**のサインかもしれないからです。
インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、それを支える骨や歯茎は生身の体です。ケアを怠れば、天然歯の歯周病と同じように、あるいはそれ以上のスピードで組織が破壊されてしまいます。最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
「怖い病気」と感じるかもしれませんが、正しい知識と、歯科医院での専門的な管理があれば、十分に防ぐことができる病気でもあります。 この記事では、インプラント周囲炎の原因や症状、そして当院(西宮北口スター歯科)が実践している「科学的根拠に基づいた予防プログラム」について詳しく解説します。
1. インプラント周囲炎とは?天然歯の歯周病より「怖い」理由


インプラント周囲炎とは、簡単に言えば「インプラントにおける歯周病」のことです。 インプラントの周りに汚れ(プラーク)が溜まり、細菌感染によって歯茎が炎症を起こし、最終的にはインプラントを支えているあごの骨が溶けてしまう病気です。
天然歯の歯周病と比べて、インプラント周囲炎には「進行が早い」という恐ろしい特徴があります。 天然の歯には、根っこの周りに「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような組織があり、これが細菌の侵入を防ぐバリアの役割を果たしたり、噛む力を分散させたりしています。しかし、インプラントにはこの歯根膜がありません。骨と直接結合しているため、一度細菌が侵入すると、骨までダイレクトに感染が広がりやすいのです。
また、神経がないため痛みを感じにくく、「気づいた時にはかなり進行していた」というケースが少なくありません。
「インプラント周囲粘膜炎」と「インプラント周囲炎」の違い

この病気には、進行度によって2つの段階があります。この違いを知っておくことが非常に重要です。
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インプラント周囲粘膜炎(初期段階) 歯茎(粘膜)だけに炎症が起きている状態です。まだ骨の吸収(溶けること)は始まっていません。この段階で気づき、適切なクリーニングやケアを行えば、完治が可能です。
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インプラント周囲炎(進行段階) 炎症が粘膜を超えて、インプラントを支える骨にまで達した状態です。骨が溶け始めているため、自然に元に戻ることはありません。外科的な治療が必要になり、最悪の場合はインプラントの撤去に至ります。
つまり、「粘膜炎」のうちに食い止めることが、インプラントを一生使い続けるためのカギとなります。
【セルフチェック】こんな症状はありませんか?

ご自身のインプラントの状態をチェックしてみてください。一つでも当てはまる場合は、早急に歯科医院を受診することをお勧めします。
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歯磨きの時にインプラントの周りから血が出る
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歯茎が赤く腫れている、またはブヨブヨしている
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インプラント周辺から膿(うみ)が出る、嫌な味がする
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噛むと痛みや違和感がある
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インプラントがグラグラする(※これはかなり進行している危険なサインです)
2. なぜ起きる?インプラント周囲炎の主な原因
インプラント周囲炎の最大の原因は、歯周病と同じく「プラーク(歯垢)」の中にいる細菌です。しかし、それ以外にもいくつかの要因が複雑に絡み合って発症します。

プラークコントロール不足(日々のケアとメンテナンス)
毎日の歯磨きが不十分だと、インプラントと歯茎の境目にプラークが溜まります。インプラントの形状は、天然歯に比べて根元がくびれていることが多く、構造的に汚れが溜まりやすい側面があります。 自己流のブラッシングでは汚れを落としきれないことが多いため、歯科医院での定期的なメンテナンスが必須となります
生活習慣と全身疾患(喫煙・糖尿病)

お口の中の環境だけでなく、全身の健康状態もリスクに直結します。
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喫煙: タバコは最大のリスク因子です。ニコチンが血流を悪くし、免疫力を下げるため、インプラントと骨の結合を阻害し、周囲炎のリスクを数倍から数十倍に高めます。当院でも、治療期間中および術後の禁煙を強く推奨しています
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糖尿病: 高血糖状態が続くと免疫機能が低下し、細菌感染を起こしやすくなります。また、傷の治りも遅くなるため、周囲炎が重症化しやすい傾向があります。
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歯ぎしり・食いしばり: 過度な力がインプラントにかかると、周囲の骨が破壊されるトリガー(引き金)になることがあります。
【重要】治療精度やインプラント設計の問題

見落とされがちですが、「どのような治療を受けたか(歯科医師の技術)」も、将来のリスクを左右します。
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埋入位置のズレ: 骨が薄い場所に無理やりインプラントを入れると、骨吸収が起きやすくなります。
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被せ物の適合不良: 人工歯とインプラントの間に隙間や段差があると、そこに汚れが溜まり、炎症の原因になります。
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粗悪なインプラント体の使用: 科学的データの乏しい安価なインプラントは、表面性状の問題などで感染リスクが高い場合があります。
当院では、こうした「治療側の要因」によるリスクを排除するため、精密なCT診断やガイデッドサージェリー(ガイド手術)を全症例で実施しています
3. なってしまったら?進行度別の治療方法
もしインプラント周囲炎と診断された場合、進行度に応じて治療法が異なります。

軽度の場合:徹底的なクリーニングと薬剤投与
「インプラント周囲粘膜炎」や、ごく初期の周囲炎であれば、外科手術なしで改善できる可能性があります。 歯科医院にて専用の器具でプラークや歯石を徹底的に除去し、インプラント周りを洗浄・消毒します。必要に応じて抗生物質(飲み薬や塗り薬)を使用し、炎症を抑えます。同時に、ご自宅でのブラッシング方法を見直し、プラークコントロールを強化します。
中度〜重度の場合:外科的処置(再生療法など)
骨の吸収が進んでいる場合は、歯茎を切開して、インプラントの表面にこびりついた汚染物質を直接取り除く外科処置が必要になります。 失われた骨を回復させるために「骨造成(再生療法)」を行うこともありますが、一度汚染されたインプラント表面で再び骨を作ることは非常に難易度が高く、確実な方法とは言えません。
最悪の場合は「撤去」の選択も
あらゆる治療を行っても改善が見込めない場合、あるいは放置することで隣の健康な歯の骨まで溶かしてしまう恐れがある場合は、残念ながらインプラントを**「撤去(抜く)」**という選択をせざるを得ません。 インプラントを失うだけでなく、骨も失ってしまうことになるため、やはり「予防」に勝る治療はないのです。
4. インプラント周囲炎を防ぐ「当院の予防プログラム」
「インプラントを入れたら終わり」ではありません。西宮北口スター歯科では、患者様のインプラントを一生涯守るために、科学的根拠に基づいた徹底的な管理体制を整えています。

インプラントを傷つけない「エアフロー」によるクリーニング
メンテナンスの際、金属の器具でガリガリと歯石を取ると、インプラントの表面に目に見えない細かい傷がついてしまいます。この傷は細菌の隠れ家となり、かえって汚れが付きやすくなる原因になります。
そこで当院では、「エアフロー」という最新機器を導入しています。微粒子パウダーをジェット噴射で吹き付けることで、インプラントを傷つけることなく、微細なバイオフィルム(細菌の膜)や汚れを短時間で根こそぎ除去します
リスクを見える化する「唾液検査(SiLL-Ha)」と担当衛生士制


お口の中のリスクは、見た目だけでは分かりません。当院では「唾液検査システム(SiLL-Ha:シルハ)」を導入しています。 わずか10秒ほど洗口液ですすぐだけで、5分後には「虫歯菌の数」「酸性度」「白血球数(炎症のマーカー)」などが数値化され、グラフで見ることができます
また、当院は「担当歯科衛生士制」を採用しています
メンテナンスを継続するための「一生涯保証」

当院では、インプラント体(フィクスチャー)に対して**「一生涯保証」を設けています(上部構造は5年保証)
「保証があるから安心」と思っていただくのはもちろんですが、何より「保証を受けるためにメンテナンスに通う」ことが習慣化されれば、結果としてインプラント周囲炎を防ぎ、一生涯使い続けることができる――私たちはそう考えています。
5. 【治療前の対策】そもそも「周囲炎になりにくい」手術を行うために
実は、インプラント周囲炎のリスクは「手術のやり方」や「素材選び」の時点で大きく変わります。 当院では、10年後、20年後を見据えた**「ゼロボーンロスコンセプト(骨を減らさない設計)」**に基づいた治療を行っています
骨吸収を防ぐ「ゼロボーンロスコンセプト」と「2mmルール」

インプラントの周りの骨が薄いと、血流が悪くなり、細菌感染に対する抵抗力が弱くなります。 当院では、インプラントの周囲(頬側・舌側)に必ず「2mm以上」の骨の厚みを確保するという「2mmルール」を徹底しています
軟組織(歯茎)の厚みを作るマネジメント

骨だけでなく、インプラントを取り囲む「歯茎(軟組織)」の状態も重要です。分厚くて硬い歯茎(角化歯肉)があれば、それがバリアとなって細菌の侵入を防いでくれます。 当院では、必要に応じて結合組織移植(CTG)などを行い、インプラント周囲の粘膜を厚くする処置を行っています
信頼性の高いインプラントメーカー(ストローマン)の採用

使用するインプラントの品質もリスクに関わります。当院では、世界シェアNo.1の「ストローマン社(スイス製)」のインプラントを採用しています
6. まとめ:科学的な予防管理でインプラントを一生のパートナーに

インプラント周囲炎は、確かに恐ろしい病気ですが、「適切な治療計画」と「継続的なメンテナンス」があれば、過度に恐れる必要はありません。
西宮北口スター歯科では、手術前の精密な設計(CT・ガイド手術・骨造成)から、術後のエアフローを用いた専門的ケア、そして一生涯保証まで、一貫して**「インプラントを守り抜く」**ための体制を整えています。
「インプラントを入れたいけれど、長持ちするか心配」 「他院で入れたインプラントの調子が悪い」 「しっかりとメンテナンスをしてくれる医院を探している」
このようにお考えの方は、ぜひ一度当院のカウンセリングにお越しください。 患者様一人ひとりのリスクを分析し、一生涯食事や会話を楽しめるよう、私たちが全力でサポートいたします。
ご予約・お問い合わせはお電話またはWEBから受け付けております。
よくある質問(Q&A)

Q. インプラント周囲炎は、自分で気づくことはできますか?
A. 初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、ご自身で気づくのは難しいことが多いです。「歯磨きの時に少し血が出る」「なんとなく違和感がある」と感じた時には、すでに炎症が起きている可能性があります。 だからこそ、痛みがなくても3〜4ヶ月に1回の定期検診を受けていただくことが重要です。プロの目でチェックすれば、ごく初期の段階で発見し、対処することができます。
Q. 他院で入れたインプラントでも、メンテナンスしてもらえますか?
A. はい、基本的には可能です。ただし、インプラントのメーカーや種類によっては、当院に対応する器具がない場合もあります(主要なメーカーであれば多くは対応可能です)。まずは一度ご来院いただき、状態を確認させていただければと思います。セカンドオピニオンとしてのご相談も歓迎しています。
Q. インプラント周囲炎になってしまったら、もう手遅れですか?
A. 進行度によりますが、決して諦める必要はありません。初期の「粘膜炎」であればクリーニング等で完治が期待できますし、骨吸収が進んでいても外科処置で進行を止められる場合があります。 「もうダメかも」と放置するのが一番危険です。違和感があれば、一日でも早くご相談ください。
Q. 喫煙者ですが、インプラント治療は受けられますか?
A. 治療自体は可能ですが、インプラント周囲炎のリスクが非常に高くなることはご理解いただく必要があります。タバコは血流を悪くし、骨との結合や傷の治りを遅らせてしまいます。 せっかく費用と時間をかけて入れたインプラントを長持ちさせるためにも、当院では治療を機に禁煙、または節煙されることを強くお勧めしています
Q. 歯磨きが苦手なのですが、大丈夫でしょうか?
A. ご安心ください。当院では担当の歯科衛生士が、患者様のお口の形や癖に合わせた、無理のないブラッシング方法を丁寧に指導します。また、ご自身では磨ききれない部分は、定期メンテナンス時の「エアフロー」などで私たちがしっかりサポートします。二人三脚で守っていきましょう。
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